健康コラム

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高脂血症について(1)

『高脂血症』は血清脂質(血液中の脂質)が基準より高い状態をいいます(下図)。2007年7月より『脂質異常症』と名称を変えていますが、基本的に“悪玉コレステロール(LDL)が高い(善玉コレステロール(HDL)が低い)、中性脂肪が高い。”という状態を指します。

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それでは、そもそもコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド=TG)とは何か?どのように消化・吸収され、人体でどのような役割を果たしているのか、正常値より高いとどうなってしまうのか?などを順に説明していきたいと思います。

1)コレステロール、中性脂肪とは何か?

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コレステロールは血清脂質のひとつで食事による摂取と肝臓内における合成により作られます。
コレステロールは人体の基本的構成単位である体細胞(生殖細胞以外の細胞のこと)の細胞膜(細胞の内外を隔てる生体膜)の構成成分であり、またステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン、性ホルモン)という生命活動の維持(恒常性という)に必要な物質の前駆体(鋳型)になっています。さらに脂肪の消化液である胆汁の原料となる胆汁酸の構成成分でもあります。(胆汁酸は小腸での脂肪の消化を良くするためのもので、脂肪の消化吸収に使われた後に、その中に含まれるコレステロールは小腸で再び吸収されて肝臓に戻ってリサイクル(腸肝循環と呼ぶ)されます)。

kurasi-3一方、中性脂肪は食事をとることにより肝臓や脂肪細胞に蓄えられて生命活動においてエネルギー不足となった時にリパーゼという分解酵素でグリセロールという物質と遊離脂肪酸(FFA)に分解されます。グリセロールは肝臓に取り込まれてグルコース(ブドウ糖)に変換されてエネルギー源となります。また、遊離脂肪酸(FFA)も細胞内のミトコンドリアにより生命活動に必要なエネルギーに利用されます。

したがってコレステロールも中性脂肪も人体にとって必要な物質(脂質)なのです。
この後は悪玉コレステロール・善玉コレステロールとは何かなど次号でご説明いたします。

「暮らしとからだ」第592号(2013年6月1日)より

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