健康コラム
掲載日:
イタイ!イタタタ…膵臓の病気?
みどりの診療所所長 豊田浩二医師
おなかから背中にかけて変な感じがして痛い…。かといって筋肉痛でもない。もしかすると膵臓の病気かもしれません。膵臓は長さ15㎝ほどのバナナ型の臓器で、胃の裏側にあるので、腹部から背中にかけての痛みが起こります。膵臓は消化酵素である膵液を分泌し、一方でインスリン(血糖を下げるホルモン)などを分泌する、二種類の重要な働きをしています。
激痛に襲われる急性膵炎
主な病気には急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんなどがあり、腹部から背中に突き抜ける、立っていられないほどの激痛は急性膵炎で起こります。膵液がなんらかの原因で膵臓自体を消化してしまう病気ですが、膵臓のまわりには神経が多いため激痛となり、吐き気や嘔吐を伴います。アルコールや脂っこい食物のとり過ぎなどが原因とされ、男性に多くみられます。軽症例では絶飲・絶食で軽快しますが、重症化すると命にかかわることもあり、注意が必要です。
兆候がない膵臓の病気も
慢性膵炎は背中の痛みはそれほどでもなく、膵臓がんの初期では腹部の重苦しさがあるくらいで、他には便通の不安定、食欲不振などしかないため、早期発見が難しい。臓器別がん死亡数では、男女全体で肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんに次いで膵臓がんは第5位で、男女差はあまりないようです。
膵臓がんの症状
膵臓がんは進行が早いのとは対照的に、症状が乏しく発見が難しいがんです。特に初期のがんはほとんど症状が現れず、早期に膵臓がんが発見されたうち、2割は自覚症状がなかったという調査結果もあります。
進行すると、腹痛や食欲低下、体重減少、背部痛、黄疸などが現れるようになります。これらの症状は膵臓がんに限ったものでないため、この症状だけで膵臓がんと診断する事はできません。
膵臓がんを発症した患者さんで最も多いのは糖尿病で、全体の17%を占めています。慢性膵炎から膵臓がんを発症する患者も多く見られます。また、家族が膵臓がんや膵炎になった人も膵臓がんになりやすく、遺伝性があることもわかっています。このほか、喫煙も発症の危険率を増加させる重要な因子である事がわかっています。
「暮らしとからだ」第591号(2013年5月1日)より