健康コラム
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虚血性心疾患の予防と治療について
うしおだ診療所所長 長浜 政博
虚血性心疾患を予防することは冠動脈硬化を起こさないことです。リスクファクターと呼ばれるものを避けることです。次にそのうち重要なものを列挙します。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などです。また最近よく聞くメタボリックシンドロームも挙げられます。これらを予防治療することが重要です。
虚血性心疾患の治療について簡単に述べます。
(1)薬物治療は
血栓を予防するものと、心臓の負荷を軽くするものに分かれます。前者の代表はアスピリンがあり、後者はニトロ系のものがありますが負荷を軽くするため血管拡張剤やベータ遮断剤が用いられます。これらを組み合わせることが多いようです。
(2)PCIは
ステント
カテーテル法を用いて風船を狭窄部位で膨らませて押し広げる治療です。ただこれだけではまた狭くなる(再狭窄)ことが多くこの克服のために様々なことが試されてきました。その中で広げた部位に金属の筒(ステント)を入れる方法が主流となりました。さらにステントに薬を塗ったもの(DES)も開発されることでさらに再狭窄率は低下しています。そのほかに狭窄部位を中から削る方法(ロタブレーター)もあります。
(3)冠動脈バイパス術
外科治療の一つです。狭窄部位より先に別のところから持ってきた血管をつなぐことで血液の流れを改善する方法です。
以前は足の静脈が用いられましたが、現在は動脈が主体となっています。開存率が良いためです。
現在内胸動脈という胸の裏側の血管を一部はがしてもちいることが多いようです。
胃の血管も使われます。
PCIやバイパス術も安全に行われるようになっており、これからますます発展していくものと思われます。