健康コラム
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腰痛について(2)「椎間板ヘルニア」
汐田総合病院 整形外科 小和瀬 智子 医師
いわゆるぎっくり腰のなかで、多いものの一つに腰椎椎間板ヘルニアがあります。腰痛だけでなく、下肢痛を伴うことも多い疾患で、30~40代の青壮年者に好発し、10代の若者や高齢者に発症することは少ない疾患です。
症状と原因は
さまざまな原因で痛んだ椎間板が神経の通り道である脊柱管内に突出するもので、突出したヘルニアが神経を圧迫し、神経が刺激され痛みが生じます。椎間板が突出する方向や大きさによって症状が変わるので、腰の痛みだけであったり、足の痛みやしびれだけであったりと、人によってかなり症状に差があります。
原因はわかっておらず、加齢や生活環境・遺伝的要素などが複雑に絡み合って発症します。
腰椎椎間板ヘルニアの患者さんの多くは保存治療(手術をしない方法)によって軽快し、実際に手術となる方は、1割にも満たないといわれています。トイレの感覚がおかしくなったり、急速に麻痺がすすむような場合には手術を行います。
突出したヘルニアは、消えないことが多いのですが、神経やヘルニアの腫れがひくことで、痛みが消えていきます。しかし、自然になくなってしまうヘルニアもなかにはあります。意外にも、小さいものでなくて、ヘルニアのサイズが大きいものや遊離脱出したものなどが消えてなくなることがあります。
保存的治療法の中に、運動療法があり、その治療体操の一つにマッケンジー法というものがあります。比較的急性期の腰痛・下肢痛に効果があるといわれています。人によって運動の種類が異なりますので、専門家の指示のもとで行われた方が安全です。痛み止めや安静または体操などでも改善しない場合は、ブロック治療を行うことがあります。
*次回は、高齢者に多い骨粗鬆症についてです。
「暮らしとからだ」第570号(2011年8月1日付)