健康コラム
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尿路結石のお話「患者さんにとって七転八倒の苦しみ」
みどり野診療所所長 豊田 浩二医師
急に激しいお腹の痛みを起こす病気の総称である「急性腹症」のなかで「尿管結石」はポヒュラーなものです。腎臓と膀胱を結ぶ尿管という細い管に、尿の中に溶けている成分が結晶となってできた石が詰まって、わき腹や背中の低い部位や腰に激しい痛みを起こします。
命にかかわることはほとんどありませんが、患者さんにとっては七転八倒の苦しみです。目で見てわからなくても尿潜血反応を調べると陽性になります。最も多い結石の成分はシュウ酸カルシウムなので、シュウ酸を多く含むほうれん草と、カルシウムを多く含む牛乳の食べ合わせは悪いといわれます。しかし、これは俗説で、それぞれバケツ一杯くらい摂らなければ影響はないようです。
治療は
治療の第一選択は「自然排石」です。結石が尿の流れとともに膀胱まで落ちてしまえば、あとは尿道から尿と一緒に出て治ってしまいます。ただ膀胱に落ちるまでどのくらい時間がかかるのか、そして激しい痛みの発作が何回くらい起こるのかは、ケースバイケースで一概には言えません。よく「ビールを飲んで縄跳びをすると良い」と言われます。これも一理ありますが、ビールの飲みすぎはお勧めできません。水やお茶で十分効果はあります。
自然排石が可能な大きさは6㎜×10㎜以下といわれており、これ以上の大きな石や小さくてもなかなか落ちず腎機能に悪影響を及ぼすような場合は、以前は手術で結石を取り出していましたが、最近は「ESWL(体外衝撃波結石破砕術)」という治療をします。これは振動で結石を粉々に砕いてしまう治療で、手術より危険が少なく、患者さんの体への負担も少ない治療法です。
予防法としては
普段から水分を多く摂ることが大事です。水分を多く摂ることで薄い尿を作り、尿の中に溶けている成分を結晶になりにくくして、また結石ができても症状がでないうちに、流し出してしまえば良いのです。
「暮らしとからだ」第566号(2011年4月1日付)