健康コラム

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骨粗しょう症は「老化」ではなく治療が必要な病気です

みどり野診療所所長 豊田 浩二医師

骨粗しょう症は閉経後の女性や高齢者に多く、我が国では近年の急速な高齢化に伴い、患者数は1,000万人とも推定されています。しかし、骨がもろくなるのは「老化」と考え、予防や治療を行わずに放置する場合が非常に多く、骨折の危険性が高まって、高齢者では寝たきりへとつながってしまうこともあります。初期は症状が乏しく、ある程度進行してから背中や腰の痛み、背中や腰が曲がる、身長が縮むなどの自覚症状が出てきます。背中や腰の痛みは、脊椎の骨折に伴うもので、その他にも転んだだけで腕や足などを骨折してしまうこともあります。

治療には

①「薬物療法」は、様々な薬剤があり、骨量を増加させたり、減少を防いだりする。
②「食事療法」は、カルシウムなどの骨量を維持する食品を積極的にとる。
③「運動療法」は、ウォーキングなど適度に行うことで骨量増加を促進。

転倒の予防が重要。治療の目標は骨折の防止。

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中でも腕や大腿骨(だいたいこつ)(太ももの最も太い骨)の骨折の直接的な原因として「転倒」が大きな割合を占めています。特に高齢者では、90%以上とも言われ、そのまま寝たきりへと移行してしまう場合も多くみられます。骨粗しょう症にとって、転倒の予防はとても重要で、治療の目標は骨折の防止です。

適切な食生活が治療の基本

カルシウムの摂取が重要です。日本人は乳製品を食べることが少ないためカルシウムの摂取が低いので、図のようなカルシウムが豊富な食品をうまく組み合わせ、1日800mg以上を目標にしましょう。また、ビタミンDは小腸でカルシウムの吸収を増加させる働きがあるため、一緒に摂取すると効果的です。その他、適量なタンパク質、マグネシウム、カリウム、ビタミンC、Kも骨量の減少防止に効果があるとされています。

適切な運動が骨量増加を促進

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カルシウムの多い食品


40~60歳の女性を対象とした調査では、運動習慣のある人が運動習慣のない人に比べて骨量が明らかに高かったという結果が出ており、骨粗しょう症の予防という観点でも、運動は重要であると言えます。推奨される運動としては、ウォーキングやジョギング、水泳やストレッチなどの体操がありますが、心臓や肺の病気がないか、また高齢者では関節などに問題がないかなど、医療機関の診断の上で行うこととなります。

日常的に心がけましょう

運動と気負わず日常生活の動作(例えば買い物や家事など)の中で、できるだけ歩くようにする、体を動かすなどを心がけるとよいでしょう。

食事中のカフェインやアルコールは、大量に摂取すると骨量に影響するとの報告もあります。また、喫煙者は骨折の頻度が高いといわれています。喫煙や過剰なアルコールは、控えましょう。

「暮らしとからだ」第555号(2010年5月付)

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