健康コラム
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狭心症と心筋梗塞
循環器 菊池 正医師
今回は、虚血性心疾患の代表である狭心症と心筋梗塞についてお話します。
1)虚血状態になった心臓の症状
胸のあたりを中心に、締めつけられる、圧迫される、胸焼けのような症状が数十秒から10分くらい続く、顎や奥歯、喉の締めつけ感、左肩、左腕が重くなるなどの症状、また、胃の痛み、嘔吐、意識消失などのこともあります。虚血の状態が長く続くと、心臓のポンプ機能にも影響して、息苦しいなどの心不全症状が現れます。さらに重症になると、血圧が下がってショック状態となり、意識が低下し、命に危険な不整脈を起こすこともあります。
2)労作性狭心症と安静時狭心症
運動時や通勤途中の歩行時、駅の階段を登るときに症状が出て、休むと治まる労作性狭心症と、血管の痙攣や血管内に血のかたまり(血栓)ができて血流が減ったときに、安静にしていても起こる安静時狭心症があります。血管の痙攣でおこる狭心症は、深夜や明け方に多く血管痙攣性狭心症ともいい、血管内に血栓ができて起こる狭心症は、不安定狭心症といいます。どの程度の動作で症状が起こるかをある程度予測可能なものは、安定狭心症ですが、最近新たに発症した安静時狭心症や、発作の回数が増加して薬が効かなくなり、軽い動作でも発作が起こるようになった場合は、不安定狭心症といい、きわめて心筋梗塞へ移行する危険性が高いといわれ、速やかに循環器専門医の受診をお勧めします。
3)心筋梗塞
血管の内側にたまったコレステロールの固まりに突然亀裂が入ると、そこをかさぶたのように血液の固まり(血栓)が覆って、血管を完全にふさいでしまうと、その先に血液が届かず心筋細胞が死んでしまう、これが心筋梗塞です。冷や汗、吐き気を伴う激しい胸痛が30分以上続く、顔面蒼白、体を動かすのもつらい、痙攣や意識を失う、ニトロを使用しても痛みが治まらず30分以上続くなどの症状は、心筋梗塞を疑い、一刻も早く、カテーテル治療のできる病院に搬送することです。心不全、血圧低下、不整脈を伴うと致命的で、死亡率は40%、そのうち70%は1~2時間でなくなる緊急を要する病態です。
「暮らしとからだ」第545号(2009年7月付)