健康コラム

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聞こえづらさをそのままにしないで ―耳鼻咽喉科受診の勧め―

汐田総合病院 耳鼻咽喉科 細野 祥子 医師

 

聞こえづらさに気づいたら

 

 「マッチ」こと近藤真彦さんがファンの声援の聞こえづらさを感じ、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けているCMをご存じでしょうか。
 難聴をそのままにしないで検査を受けてほしいという思いを込めてACジャパンの支援で日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が作成したCMです。熱狂的ファンの声援が聞こえづらくなるというのは大分極端な例ですが、日常生活の会話の中で聞き返しや聞き間違いを経験している方は多いと思います。
 難聴は認知症やうつ病などの発症リスクと関連しているため、早期の診断、介入が重要と考えられていますが、諸外国では難聴を自覚した際に医師へ相談する率が50~80%台である一方で、日本では38%と非常に低い状況であることが明らかになっております。
 そのため、少しでも多くの難聴患者さんが耳鼻咽喉科を受診し、対応を相談していけるようにと当学会で啓発キャンペーンを行っているという経緯です。

 

補聴器は検査をしてから

 

 実感は少ないかもしれないですが、聞こえの衰えは30代から始まります。年齢性の変化ですので、皮膚のシワが増えていくのと同じく、歳を重ねていくと徐々に難聴も進行してゆきます。
 加齢性難聴の場合は聴力検査の結果と日常生活の状況で補聴器の必要性を判断し、必要性がある方は補聴器の試聴をお勧めいたします。補聴器を勧められたらすぐに購入するというわけではなく試聴の期間がありますので、購入に関しては患者さんの満足度を確認してからになります。購入してからも使い心地に応じて定期的に補聴器の調整を行います。

 

難聴は放置せず受診を

 

 急な難聴は突発性難聴のような早期の投薬治療が必要な疾患の可能性があるため、できるだけ早期の受診が必要となります。
 慢性的な難聴も加齢性難聴だけではなく、耳垢の詰まりや中耳の疾患が見つかり、処置や手術で聴力を改善することができることもありますので、放っておかずにぜひ耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。
※汐田総合病院の耳鼻咽喉科は補聴器相談医がおり、認定補聴器専門店の出張による補聴器相談も行っております。

日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会「聴こえ8030運動」

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