健康コラム

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カフェインと睡眠

汐田総合病院 初期研修医 山田 康平 医師

 

 

 コーヒー・紅茶・エナジードリンクなど、現代にはカフェインを含んだ飲み物が多数存在します。秋冬はコーヒーやお茶がおいしい季節ですが、カフェインの摂り過ぎは睡眠に影響をあたえます。正しく付き合っていくようにしましょう。

 

カフェインって何?
正しく使えばいい薬剤

 

 カフェインはコーヒー豆や茶葉に含まれる物質で、覚醒作用や鎮痛作用など様々な薬理効果があります。頭痛薬にはカフェインが含まれているものがありますが、これはカフェインの血管収縮作用により頭痛の原因となる脳血管の拡張を抑える狙いによるものです。正しく使えば有効な作用を発揮できますが、大量に摂取すると副作用として不眠や吐き気などが生じることもあります。

 

 

カフェインはどれくらい残るの?
夕方に飲まなければいいんでしょうか?

 

 カフェインは昼間に摂れば夜までに体から出ていくので睡眠に影響を与えないと考えている方は多いです。しかし近年は、夕方以降飲まないのは前提として、一日の総量を重視する考え方に変わっています。
 米国・カナダ・ヨーロッパでは成人の一日カフェイン摂取量はコーヒーカップ4杯分(400㎎)までとしています。またカップ1杯分のカフェイン(100㎎)は8・8時間後、2杯分(217・5㎎)であれば13・2時間後の睡眠に影響するというデータもあり、個人差はあっても、一日どの時点のカフェイン摂取も睡眠への影響は避けられないと考えた方がよさそうです。

 

どうすればいいの?
そもそも睡眠不足をカフェインでごまかすべきではない

 

 日中の眠気の原因はカフェインを摂取していないためではなく、生活習慣の乱れからくる睡眠不足がほとんどです。むしろカフェイン摂取は睡眠不足を誘発するため、カフェインを摂りすぎているせいで更にカフェインを摂取しなければならないという状況が生じている可能性もあります。
 睡眠不足に対してのカフェインは、治療にも代替にもなりません。生活習慣を整え、十分な睡眠を確保することが重要です。生活習慣の改善で解決しない不眠や日中の眠気は、カフェインでごまかすよりも、医療機関への相談をお勧めします。

 

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