健康コラム
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日光浴をしよう! 幸せホルモン セロトニン
汐田総合病院 初期研修医 栁澤 香月医師
秋冬を健康に過ごすために
今回は「セロトニン」という物質についてご紹介します。ストレス軽減やさまざまな健康効果をもたらす神経伝達物質のひとつで、別名「幸せホルモン」とも呼ばれており、意欲・向上心を調整し精神を安定させてくれます。他にも、脳に働きかけ不安を和らげる効果や、姿勢をまっすぐに保つ、やる気を高める、痛みを抑える、食欲をコントロールするなどのはたらきがあります。
セロトニンは睡眠のリズム調節を担うメラトニンというホルモンとも関わっています。メラトニンはセロトニンから作られるため、昼間のセロトニンの分泌量が多いほどメラトニンの分泌量が多くなり、質の高い睡眠を得やすくなります。
セロトニンが低下するとこれらのバランスが崩れて、感情や睡眠のコントロールが不安定になり、気分が沈む、イライラ感が募る、怒りっぽくなる、重症例ではうつやパニックなどの精神症状を引き起こす場合があります。
セロトニンの分泌を促す
セロトニンを増やすためには日光浴が重要となります。セロトニンは、2000~3000ルクスほどの強い光を網膜が感じることで活性化します。太陽光は曇りの日でも10000ルクスほどありますが、一般的な家庭用の蛍光灯は500ルクス程度です。窓越しだと光量が減少してしまうため、できるだけ屋外に出て直接日光を浴びることをおすすめします。
セロトニンの分泌量には限界があるため、日光浴の時間は30分ほどが良いといわれています。ただし暑い季節は熱中症や日焼けの危険性があるため、時間を短縮し、木陰など涼しい場所でも構いません。
日光浴に加え、適度な運動をすることでセロトニンのさらなる活性化につながります。ウォーキング・ジョギング・スイミングなど、全身を使うリズム運動を20分ほど行うと効果的です。
セロトニンを増やす食べ物
また、セロトニンの原料であるトリプトファン(必須アミノ酸の一種)を意識しつつ、栄養バランスのよい食事を摂ることも大切です。
よく噛んで食べることで脳が覚醒し、セロトニンも活性化しやすくなります。
これからの季節を元気に過ごしていくために、外出や運動を心がけ「幸せホルモン」を増やしていきましょう。
参考文献:
小西正良他.セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境
厚生労働省「セロトニン | e |ヘルスネット(厚生労働省)」