健康コラム
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子どもの喘息
小児科科長 宇野 律子医師
喘息とは〔ヒューヒュー、ゼーゼー〕という音(喘鳴)を伴い、胸が苦しい、咳がひどい、呼吸がしにくく苦しい状態(呼吸困難)が発作的におこる病気です。とくに吸い込んだ息が吐き出しにくくなり、大きな発作のときは会話もできず、顔色が悪くなりさらにひどくなると酸素不足のため唇や指が紫色になるチアノーゼが出たり、意識がはっきりしなくなることもあり、最悪の場合は死につながることもあります。発作がおさまるとそれまでの症状はほとんどなくなり、何もなかったかのようになりますが、このような発作は何度も繰り返します。
最近は喘息を起こす子どもの数が増えています。男の子の方が女の子より約2倍多く起こしやすいです。大きくなるにつれて症状は軽くなります。中学校3年生ぐらいには約半数の子が治ると言われています。
喘息発作とは
空気の通り道である気管支の病気です。気管支の粘膜がはれて、気管支のまわりの筋肉が縮んで、その中にたくさんの痰などが詰まって空気が通りにくくなる病気です。また喘息は気管支の炎症による慢性的な病気で、発作が繰り返し起きます。最近は喘息治療が進歩し、たいていの喘息はコントロールできるようになりました。しかし扱い方を間違えればこわい病気であると覚えておきましょう。
症状は
最初は乾いたコンコンという咳ですが、悪化するとゼーゼー、ヒューヒュー(喘鳴)に変わります。喘鳴は昼間より夜間や明け方に多く起こります。昼間の症状は比較的軽い場合があるので見逃さないようにしましょう。寝ていると苦しいので、座った状態で、肩で呼吸するようになります。このような状態は喘息の発作です。呼吸が出来なくなることもあるのですぐ病院に行きましょう。また、乳児や幼児では喘息発作をおこしても喘鳴がはっきりしないこともあります。機嫌が悪い、落ち着かない、泣き止まないときは、喘息発作を疑って受診しましょう。初めての発作のときはわかりにくく、見逃すと喘息を悪化させてしまうこともあります。少しでもおかしいと思ったときは積極的に受診しましょう。
「暮らしとからだ」(2008年10月1日付)