健康コラム

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糖尿病について(前編)

汐田総合病院 内科 佐野 達也医師

 初めまして。内科の佐野達也と申します。
 2023年10月に汐田総合病院に入職し、現在汐田総合病院、うしおだ在宅クリニックにて外来を担当させていただいております。今回は糖尿病についてお話しをさせていただきます。

 

糖尿病の誘因

 糖尿病は加齢のほか、日常の生活習慣が誘因となって発病する生活習慣病です。
 糖尿病患者は年々増加しており、その理由として、現代社会が糖尿病を増やす生活習慣を生みやすい構造になっていることが考えられます。過食・運動不足・ストレス・飲酒・肥満等、糖尿病を発症しやすい条件がたくさんそろっています。
またこれらの生活習慣にかかわる誘因とともに、糖尿病の発症には遺伝的な素因も深く関係しているため、近親者に糖尿病の人がいる場合は注意が必要です。

 

病態

 インスリンの作用が不足して、血糖値が上がります。インスリンは膵臓で作り出されるホルモンで、細胞が血液の中からブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用するのを助ける働きをしています。インスリンの作用が不足するとブドウ糖を利用できなくなり、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなります。これを高血糖といい、この状態が継続するのが糖尿病です。
 インスリンの作用不足には、膵臓のインスリンを作り出す「インスリン分泌」能力が低下してしまうことと、インスリンに対する細胞の感受性が悪くなることである「インスリン抵抗性」のふたつの原因があります。

 

症状と進行

 糖尿病は症状に気付きにくく、多少血糖値が高いくらいでは全く症状がない人がほとんどです。しかしその程度の高血糖でも合併症は進行していき、高血糖がひどくなると初めて、のどが渇く・お小水が多い・トイレが近くなる・傷が治りにくい・足がつる・だるい・疲れやすい・物覚えが悪い・集中できない・眠い・食べても痩せる・といった症状が現れてきます。糖尿病は早期発見・早期治療が必要な病気といえます。
(次号に続く)

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