健康コラム
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頭をぶつけたら(後編)
汐田総合病院 脳外科 朴穂貞医師
慢性硬膜下血腫とは
(前号の続き)
ご高齢の方は、頭をぶつけて2~3ヶ月後に、慢性硬膜下血腫という病気になることがあります。受傷からしばらくして頭の中の出血がじわじわと増え、脳の表面に血液が溜まり、徐々に、麻痺・元気がない・食事が摂れなくなった・意識がない・認知機能が低下した、などの症状が現れます。症状があると手術が必要になる病気です。
手術は、頭蓋骨に10円玉程度の孔をあけ、頭に溜まった血の塊をストローで洗い流すという手術で、1時間弱の短い時間で、それほど難易度は高くない手術ですが、放置すると命に関わることもあります。ぺーぺーの私でも、命に関わるような慢性硬膜下血腫をすでに2件経験しています。
転んだ数ヶ月後から「何だかおかしいな」と思ったら、薬で治療できることもありますので、早めに病院を受診していただければ幸いです。
頭をぶつけないために
ここまで色々話してきましたが、一番大切なことは、転ばないよう予防することです。
横着は一瞬ですが、横着による怪我は一生ものです。ちょっとした油断で、元通りの自分に戻れなくなってしまった、なんてことを、医師になって数多く見てきました。高いところに無理して登ったり、タイヤの付いている椅子に立ち上がったり、足元がおぼつかないまま出かけたりすることがないように、十分注意してください。
そして転んで頭をぶつけてしまったら、汐田総合病院をはじめ、脳神経外科のある病院を受診してください。
私の息子はもう9ヶ月になります。長く入院していたこともあり、まだつかまり立ちはできませんが、気づくとプレイマットからはみ出していたり、出窓に向かって寝返りしていたりと、目が離せなくなってきました。母としても脳神経外科医としても、新米ではありますが、息子が頭をぶつけないよう、全力で予防に務める所存であります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。皆様とまたどこかでお会いできる日を楽しみにしております。