健康コラム

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口腔機能低下症について(前編)

歯科口腔外科 東口十麻子医師

 

 口腔機能低下症とは、口腔機能の低下により、栄養の偏りやエネルギー不足が生じ、全身の健康に影響する病態です。加齢や疾患、障害などにより口腔の機能が低下し、咀嚼機能が不全となり、摂食が障害され、全身の健康が損なわれます。
 食べる力は40代から衰え始めると言われ、中年期からの診断と管理が重要です。特に高齢者は、口腔が清掃不良になりやすく、義歯の不調やう蝕(むし歯)や歯周病の進行から、歯数が減少し、食べる力が低下します。加齢や全身疾患などによっても、低栄養、引いては廃用となり、口腔機能が低下する要因となります。このため、適切な管理と指導のもと、重症化を予防し、口腔機能の維持と回復を行います。

 

口腔機能低下症の特徴

 口腔機能低下症になると、食べる量が減少し、固いものを避けるなど食材が偏り栄養不足となります。結果、筋力が衰え食欲不振となり、さらに食べる力が衰え、口腔機能が低下する、と言う悪循環が生じ、引いては要介護状態へのリスクを高めるのです。このため、個々の患者さんの生活環境や全身状態を把握し、適切に口腔機能の管理を行うことが重要です。
 口腔機能低下症では、食べ物が口内に残る、固いものが食べにくい、食事の時にむせる、飲み込みにくい、口の中が乾く、食べこぼす、滑舌が悪い、と言った症状が見られます。

 

口腔機能低下症の診断方法

 口腔機能の検査では、口腔衛生状態の不良、口腔乾燥、咬合力の低下、舌口唇運動機能の低下、低舌圧、咀嚼機能の低下、嚥下機能の低下の有無を調べ、このうち3項目が該当するようであれば、口腔機能低下症と診断されます。このうち舌圧は舌圧計を用い測定します。咀嚼や嚥下は舌の運動と関係しており、舌圧の低下はむせや摂食の困難をもたらし、低栄養の要因となります。これを予防するために、舌のリハビリテーション訓練が必要となります。また、嚥下機能の低下を検査するためには、全身状態や麻痺や高次機能障害の有無を評価し、水飲みやゼリーなどの食物の嚥下テスト、咽頭部内視鏡やエックス線による透視下での検査を行います。(後編に続く)

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