健康コラム
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夏に増える尿路結石の予防法 繰り返す場合は
汐田総合病院 初期研修医 佐々木直子医師
尿路結石とは
尿路結石…実は罹患率が50年で3.2倍にもなっている疾患です。男性では7人に1人、女性では15人に1人が人生に一度は体験すると言われています。血尿や尿混濁、時に尿閉(尿が出にくい)、そしてなにより耐え難い腰痛、腹痛で七転八倒します。腎疝痛発作という急激な痛みだけでなく、冷や汗、顔面蒼白、さらには吐き気が出たりもします。
男性、夏季(脱水)、生活習慣病、家族歴、若年発症者、偏食(高脂肪、高シュウ酸、低カルシウム食)などが危険因子と言われていますが、初発の場合は肥満が唯一の再発予測因子であるとの報告もあり、生活習慣病との関係が注目されています。
治療・予防
治療は結石の大きさで決まります。9㎜より小さければ尿とともに流れ出ていく可能性が高いので痛みを抑える治療がメインとなりますが、10㎜以上であれば尿管ステント挿入による治療が可能な専門病院の、早急な受診が必要です。
日常生活ではどのように予防したらよいでしょうか。最重要なことは、水分を2L以上摂ること。しかし、尿中に結石を作りやすい飲料は避けたいので、糖分の多いジュース、玉露、抹茶、コーヒー、紅茶などは避けましょう。ほうじ茶や麦茶はシュウ酸が少なくおすすめです。アルコールは利尿作用で結石ができにくいと誤解されがちですが、多量なアルコールは脱水を引き起こし、特にビールはプリン体が多く尿酸結石の可能性があるためお勧めできません。
また、石の成分にカルシウムが多いのでカルシウムは避けた方が良い、と誤解されることがありますが、石の成分のひとつであるシュウ酸を取り込んで便として排泄してくれるので、カルシウムは積極的に摂りましょう。ほうれん草はシュウ酸が多いから良くない、と言われますが、しっかり茹でこぼせば大丈夫です。他の栄養素も多いほうれん草、しっかり茹でて頂きましょう。
肥満により尿路結石が起こりやすくなるのも、高脂肪食中の脂肪酸が腸内でカルシウムと結合し、シュウ酸を取り込んでくれていたカルシウムが減ってしまい、尿の方にシュウ酸が増え尿路結石を起こしやすくなるためです。肥満、生活習慣にも気を付けましょう。
最後に、尿路結石を繰り返す場合は、体内のカルシウム濃度の調整を担っている、首にある副甲状腺という臓器の機能異常がある可能性があります。尿路結石の症状が落ち着いているときに、副甲状腺の機能評価のため泌尿器科や内分泌科を受診することをおすすめします。