健康コラム

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糖尿病について(後編)

汐田総合病院 総合診療科 石川詩織医師

 

(前月号より続く)

 

糖尿病治療の目的

 糖尿病は進行性の病気で、血糖が高い期間が長いほど血管へのダメージをきたし、全身の多くの血管の動脈硬化が進みます。細い血管、太い血管など、臓器や部位ごとに異なりますが、それぞれで「合併症」が起こります。糖尿病は「血管を痛めつける」病気なのです。
 早期の発見と治療でインスリンを分泌する膵臓を守ることができ、後述する合併症や重症化を予防することができます。検査異常がある場合はもちろん、異常がない人でも、健康診断での定期的なチェックが必要です。

 

合併症とは

 合併症とは、「し・め・じ」「え・の・き」などと言われます。「し」神経(足の裏のしびれ)、「め」網膜症(目の見えづらさ)、「じ」腎臓(むくみ、進行すると透析)、「え」壊疽(足の血管が詰まり、進行すると切断)、「の」脳梗塞、「き」心筋梗塞などを意味します。
 また最近では、認知症や癌など多数の病気のリスクを上昇させることが明らかになっています。

 

糖尿病の治療

 糖尿病の治療は、以前は限られた内服薬とインスリン注射しかありませんでした。
 そのため厳格な食事療法・運動療法を強いられ、低血糖を起こすことも珍しくありませんでした。しかし最近では内服薬や注射製剤も進歩し新薬も出ています。「運動をしたのと同じ効果のある薬剤」などの開発も進められています。
 また、血糖の検査方法にも、血糖測定以外にも腕にセンサーを貼り付けて、いつでも血糖を知ることができる機器など、様々なものが開発され、日々進歩しています。
 もちろん、食事療法と運動療法抜きにはこの治療は成り立ちません。しかし、以前の修行のごとく厳しい生活管理と比べ、治療法やデバイスの大きなサポートを受けて治療に取り組めるようになり、良好なコントロールを得られる時代になってきました。

 

理想とする治療

 もちろん、生活で譲れないこと、人生の価値観などは、一人ひとりまったく異なります。
 糖尿病やひいては内科疾患を治療していく中で、私たちは患者さん一人ひとりの「自分らしく生きる」を健康と結び付け、サポートしたいと考えて、日々診療しています。
 特に糖尿病は患者さんを中心とした「チーム医療」です。ぜひ、今治療中の方も、そうでない方も、糖尿病に関心をもっていただけたら嬉しいです。

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