健康コラム
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特発性正常圧水頭症
汐田総合病院 脳神経外科
山内 達也 医師
症状・原因
特発性正常圧水頭症は脳に溜まった脳脊髄液が脳を圧迫することで、歩行障害・認知症・尿失禁等の症状が出る病気です。歳のせいだからと見逃され、治療の恩恵を受ける患者さんは特発性正常圧水頭症患者さんの1割にも満たないといわれています。
歩行障害は特に重要な症状で、少し足を開き気味で、よちよち歩きになることが特徴的です。転倒することもあり、足の骨折等で病院を受診して発見されることもあります。その原因は脳と脊髄の表面に存在する脳脊髄液が不均衡に過剰となることで生じることがわかっています。
MRI検査
症状から特発性正常圧水頭症が疑われた時には当院では頭部MRI検査等を行います。2022年4月から導入された当院の最新のMRI機器では、特発性正常圧水頭症と症状が似ている他疾患(例えばアルツハイマー型認知症等)との鑑別が、かなり可能になりました。
入院での精密検査
MRI検査でいよいよ特発性正常圧水頭症が強く疑われれば、入院(1週間程度)での精密検査になります。入院では腰に注射をして脳脊髄液を抜く、髄液穿刺試験を行います。脳脊髄液を抜くことで歩行・認知等の改善がみられれば、脳脊髄液が過剰であったということになりますが、数日~数週間で脳脊髄液はまた過剰な状態に戻るため、その効果は一時的です。
シャント手術
検査で特発性正常圧水頭症と診断されれば、脳脊髄液を断続的にお腹の中に流すことにより、過剰な状態を半永久的に改善する為に、細長いチューブを埋め込むシャント手術を行います。
シャント手術は1~2時間の手術で、通常1~2週間程度の入院となります。シャント手術により歩行障害は約80%、認知症は約70%改善するといわれており、必要な介護負担が軽減するケースも多くみられます。
当院では脳神経外科、脳神経内科で診ることができます。
さらに詳しくお知りになりたい方は、
「高齢者の水頭症」 http://inph.jp/
をご覧ください。簡単チェックシート、病院検索等ができます。