健康コラム
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口腔乾燥症について(前編)
汐田総合病院 歯科・口腔外科
元川賢一朗医師
コロナが蔓延して早2年、マスクを装着する生活にも慣れてきたと思います。マスクを装着する機会が増えて、お口の中の乾燥を気にされる方も多くなったのではないでしょうか?お口の中が乾燥(口腔乾燥症)すると、虫歯や歯周病になりやすくなったり、入れ歯が外れやすくなったり、飲み込みがしづらくなったり(摂食嚥下障害)と様々な症状を生じます(図)。今回は、口腔乾燥症についてお話したいと思います。
●症状
次の項目で複数該当するようであれば、口腔乾燥症の可能性が高いと思われます。
- 口が乾く(唾液が出ない)
- 話しにくい
- 食事の時に飲み物が必要である
- 夜間飲水のために起きる
- 舌が割れる
- 味覚が変わった
- 口角炎を起こしやすい
- 口臭が気になる
- 虫歯がたくさんある
●原因
一口に口腔乾燥症といっても原因は様々です。薬の副作用(抗うつ薬、降圧剤etc)によるもの、糖尿病や甲状腺機能亢進症などの全身疾患、加齢変化、ストレス、口呼吸(鼻炎等で鼻がつまり、口で呼吸している状態)、口腔カンジダ症といったものがあります。また、自己免疫疾患で口と目の乾燥を生じるシェーグレン症候群という病気もあります。
●検査
一般的には、唾液量(ガム検査、サクソンテスト)で評価したり、舌背部の乾燥状態で診査します。また、近年では口腔内の湿潤度を評価する装置も利用されています。
●治療
原因により治療方法は異なりますが、唾液分泌を促進する薬剤と口腔ケア湿潤剤・含嗽剤を使用する方法が一般的です。また、漢方薬を処方するケースもあります。全身疾患に問題がある場合は、医科への受診を勧めます。