健康コラム
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在宅看取りの勧め(前編)
うしおだ在宅クリニック所長
塩田 純一医師
自分の人生の最期をどこで迎えるか
「ご自分の人生の最期を何処で迎えるか」は、あらかじめ希望をご家族などに伝えておかないと、なかなか簡単にはその場では決められません。
かつては病院で最期の看取りが当たり前に行われていました。今はいろいろなシステムができ、ご自分の希望を叶えていくことができます。どなたにも何時かは来ることですので、何年後あるいは何十年後になるかはわかりませんが、今日は最期の時について考えてみましょう。
在宅で最期を迎える
ご高齢で老衰傾向が進み食事が取れなくなった場合や癌・難病の末期になった場合、最期の時を在宅での往診管理下で過ごす方法があります。
かつては大病院などで癌の治療を終了し、末期状態で何も治療する手立てが無くなっても全身状態が悪いと退院の許可が下りず「家に帰りたい」と訴えながら病院で最期を迎えた方が多くいらっしゃいました。
その当時はこのような状態をご相談いただいた時に、退院が許可にならないなら、一度汐田総合病院に転院していただき(退院はダメでも転院は許可される)、往診の準備をして自宅退院し、住み慣れた自宅でご家族に囲まれ、慣れ親しんだ環境を感じながら最期を迎えて頂くよう往診を実施してきました。
往診時も血圧や病気の進行の話は最低限にして、患者さんが育てた庭の植物やどんな仕事をされてきたかなどの話を伺うことが楽しみでした。
最近では訪問診療や在宅介護のシステムが出来て、どこでも気軽に往診医療を受けることが出来るようになりました。病院に入院して治療を尽くしても老衰や原疾患の改善がなくなった場合に、自宅での療養を希望することができます。