健康コラム
掲載日:
「外傷に伴う手関節痛・橈骨遠位端骨折」について
汐田総合病院 整形外科
松井 秀和 医師
転倒して受け身を取る時に、手が咄嗟に出ることがあると思います。
予期しないことなので、どのように手を着いたのか覚えていない。その後、手首が痛くなってきた。捻挫だと思っていたらいつまでたっても治らない…。
まさに橈骨遠位端骨折を疑う状況です。明らかに手首が変形しているときはおかしいことに気づくと思いますが、痛いけど手首が使えるという場合も少なくありません。
特に高齢者の場合、骨が脆くなっているため、「昔転んだ時と変わらないので大丈夫!」と思うかもしれませんが、軽微な外傷でも骨折につながることがあります。
些細な骨折であっても、放置しておくと手首が変形してきて、日常生活に支障を来すこともあります。
このように特に高齢者で転倒して手首の痛みが続いている場合は、レントゲン検査をすることをおすすめします。
骨折の状況により、ギプス固定をして外来加療で済む場合もありますし、徐々に骨折がずれてくるようであれば手術をしなければならないこともあります。
この骨折を放置して骨折が徐々にずれてくるようなことになれば、手首は見た目でも変形してしまいますし、手関節の動きが悪くなってしまいます。これが利き手であった場合は箸が持てなくなってしまうこともあります。
また、変形により神経を圧迫して手先がしびれた状態になることもあります。
転倒しないことが一番の予防ですが、このようなアクシデントが生じてしまった時には、そうならないようにお近くの整形外科を直ぐに受診することをおすすめします。
(日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用)