健康コラム
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関節痛(リウマチ)について(3)
汐田総合病院 整形外科
佐々木 正造医師
最終回の今回は、変形性関節症に関わる3つの疑問の3番目「グルコサミンなどのサプリは有効か?」についてお話しします。
「膝の痛みが治る」と宣伝されているサプリメントにグルコサミンとコンドロイチンがありますが、いずれも軟骨の構成成分として必要なものです。しかし、通常これらは体内で合成されるので、私たちが食事をとる時にこれらを意識する必要はありません。
それではこれらをあえてサプリで摂取することで関節の痛みを治せるのでしょうか。「グルコサミン、コンドロイチンが変形性関節症に有効か」について国内外で多くの臨床研究が実施されてきました。欧州(スペインとポルトガル)での研究ではグルコサミン1日1500㎎を服用した結果、膝の痛みと機能がいくらか改善した、という報告があり、米国ではグルコサミン1500㎎とコンドロイチン1200㎎を併せて服用すると膝の疼痛がいくらか改善したという報告がある一方で、効果がなかったという研究結果もあり、未だ見解の一致をみておりません。
大雑把にまとめると「コンドロイチン単独では無効」「グルコサミンは意見が分かれる」といったところです。専門家の意見を日米間で比較すると、米国ではグルコサミンの効果を支持する意見が一定程度あるのに対し、日本では支持しない意見が優勢です(大げさな広告も専門家に好かれにくい一因かも)。
一方で、日本の整形外科医はヒアルロン酸の注射を好む傾向がありますが、米国ではヒアルロン酸注射は好まれない傾向にあります。以上を踏まえて私自身の意見を述べますと、軟骨の摩耗が進んでいない初期の方には、グルコサミンが有効に作用する可能性がいくらかありそうで、服用期間としては6か月から2年間くらいが必要、と考えています。
最後に、新聞や雑誌で宣伝されている商品には重要とは言い難い栄養素がふんだんに含まれており、価格が不当に高い傾向にあります。1か月分で5千円を超えるようなものは個人的にはお勧めしません。良心的なメーカーでグルコサミン単体であれば、1か月分が千円内外で売られています。ご参考まで。