健康コラム
掲載日:
関節痛(リウマチ)について(2)
汐田総合病院 整形外科
佐々木 正造医師
前回は変形性関節症について、1.「運動しすぎると軟骨がすり減るなら、運動しない方がよいのか?」2.「減った軟骨を元に戻すことは出来ないのか?」3.「グルコサミンなどのサプリは有効か?」という3つの疑問を提示しましたが、今回それらについて順にお話しします。
適度な運動とは?
まず1について。関節の中では代謝、言い換えますと「関節を潤滑にしている液体(関節液と呼びます)中の〝ごみ〟を排出してきれいにする」作業が行われています。運動をやめると代謝が鈍くなり、関節液のごみが増え続けて軟骨の劣化が進みます。ごみを排出するためには「適度な運動」が必要なのです。
では適度とはどのくらいか、気になりますね。この疑問にお答えするために私は疼痛シートを患者さん方にお渡ししています。疼痛シートというのは痛みの日記帳です。その日の痛みの強さを10段階で評価し、その日に行った運動とともにシートに記入します(例:痛みの強さ4点 20分歩いた など)。そして、翌朝の痛みを10段階で評価して記入します。
翌朝、痛みの点数が増えている場合は前日の運動量が多すぎた可能性があります。翌朝の点数が増えない範囲での最大の運動量がその人にとっての最適な運動量というわけです。
炎症を鎮めるために
2について。劣化した軟骨を元に戻すことは残念ながら出来ません。しかし手遅れではありません。軟骨を元に戻せなくても、痛みを減らせる可能性があります。
従来、変形性関節症の原因は使い過ぎや老化であり、病気の本態は「劣化」であるとされてきましたが、現在では病気の本態が「慢性炎症である」ことがわかっています。病気が慢性炎症であるのなら、炎症を鎮めることで痛みを改善できる可能性が出てきます。
炎症を鎮めるためには薬や有酸素運動が有効です。例として、歩行、自転車、家事労働、買い物など、0・5~1時間のきつすぎない有酸素運動です。短距離走や重量挙げなどの高負荷無酸素運動は、逆に炎症を強めてしまいますので注意が必要です。