健康コラム
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「嚥下内視鏡検査について」いまどきの医療と技術
汐田総合病院 歯科医師 時崎 洋
今回は「嚥下内視鏡検査」についてご紹介いたします。当院でもすでに運用しており、入院患者様を中心に主治医からの依頼を受けて検査を実施しています。
嚥下内視鏡検査とは
水分や食物を飲み込み胃へ送り込む運動のことを嚥下(えんげ)といいます。脳血管障害やパーキンソン病、認知症、のど・食道の癌やその手術・放射線療法、加齢による筋力低下などが原因で嚥下が上手くできないことを「嚥下障害」といい、誤嚥性肺炎や食事量低下による低栄養などを引き起こす恐れがあります。
この検査は鼻の穴から細い内視鏡(※図①参照)を咽頭(のど)に向かって挿入し(※図②参照)、飲み込みの様子を観察する検査です。唾液やたんの貯留の有無、水分や食物を飲み込んだ後の咽頭内への残留の有無や気管への流入(誤嚥)、そして嚥下に影響を与えることのある声帯の動きを評価することができます。
検査の結果をふまえて、今後の食事形態や食事時の姿勢の調節、嚥下訓練の必要性や方針を決定します。
嚥下内視鏡検査による偶発症など
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検査時は鼻から内視鏡を挿入するため、多少の違和感があります。挿入した状態で飲食した場合の嚥下状態は、日常の状況とは感覚的に若干違いが生じることがあり、検査の結果は多少過大や過小に評価されることがあります。
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鼻から挿入するため、急に動いたりして粘膜を傷つけることが稀にありますが、細心の注意を払って行います。ただし危険防止のため、体や頭部の一部を抑制することがあります。
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誤嚥しやすい患者さんは食物の気道閉塞を引き起こす可能性があるため、安全性の高い食品から少量ずつ接取していただきます。検査に際しては、血液中の酸素飽和度を測る機器を付けて行います。
上の図① 検査で使用する内視鏡
上の図② 鼻から入れた内視鏡で、のど・気管・食道などを観察します