健康コラム
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脳卒中について③
汐田総合病院 脳神経外科 遠藤 純男医師
ようやく春が訪れてきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
脳卒中は「脳血管障害」と言い、「脳の血管の病気」です。脳神経外科が扱う脳の血管には「頸動脈」と「脳血管」があります。脳の血管が詰まると「脳梗塞」、破れると「脳出血」や「くも膜下出血」になります。
脳梗塞の治療
「頸動脈」が狭く脳梗塞を起こしやすい時には、飲み薬での治療を開始します。血液をサラサラにする薬、コレステロールや中性脂肪を下げる薬、血糖値や血圧を下げる薬での治療です。それでも改善しない時はカテーテル治療や手術を行い頸動脈を広げます。
「脳血管」が狭く脳梗塞を起こしやすい時、飲み薬の治療を開始しますが、改善しない時は、血流が不足している脳の血管に頭皮の血管をつないで血流を増やすバイパス手術を行います。
脳出血とくも膜下出血
次に、「脳血管」が破れる病気では「脳出血」と「くも膜下出血」が代表です。「脳出血」は高血圧が強く関わるので、高血圧の治療が大事です。出血量が少ない場合は血圧を下げる薬と止血剤で治療を行いますが、出血量が多く命に関わる場合は手術を行います。
「くも膜下出血」の多くは「脳動脈瘤」が関わります。頭部MRI検査で脳動脈瘤の診断ができますので、ぜひ一度は受けて頂きたいと思います。命に関わる病気ですので、緊急でカテーテル治療や手術を行いますが、重大な後遺症が残ることも多いです。
「脳血管障害」は「頸動脈や脳血管の動脈硬化」が原因で起こります。コレステロールや中性脂肪が高い「脂質異常症」、「糖尿病」、「高血圧」の治療が重要です。「禁煙」や「減酒禁酒」も必要です。定期的な検査(血圧測定、血液検査、頭部MRI、頸動脈の超音波検査、体重測定など)も大切です。
脳卒中は「健康的な生活習慣」と「定期的な検査」と「早期の治療」で予防できますので、健康長寿を目指して一緒に頑張りましょう。