健康コラム
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「国際福祉機器展の見学を終えて①」いまどきの医療と技術(5)
うしおだ福祉サービス 柿崎 勉
日本最大の福祉用具展
第45回HCR国際福祉機器展が、10月10日~12日の3日間、東京ビッグサイトで開催されました。国内はもとより海外のメーカー含む546社が出展している国内最大のイベントです。今年は2020年の東京パラリンピックに向け、パラスポーツの特設会場も設けられており、一層華やかな雰囲気が漂う中での開催でした。
私が初めてこの展示会に出向いたのは、もう20年以上も前です。当時はまだ介護保険の施行前で、小さなブースに手作り感が満載の自助具や衣類、経験に基づいた小物の数々が展示されていました。「この品物はあの人が使える、これは、あの方に役立てもらえそう」だと、わくわくしながら歩いていた思い出があります。
その後、平成12年の介護保険導入後から出展社が振り分けられ、今日では、ロボットやAIを駆使した商品が目立った内容へと変貌を遂げています。前置きが長くなりましたが、これより展示ブースに向かいましょう。
最新の福祉機器を体感
この国際福祉機器展では、現物を見て・触れて・体験できます。自分自身が福祉機器を体感するので、実際の機器選定の際に、より実用的な話ができるようになります。階段昇降機、新商品のベッドやマットレス、リクライニング車椅子など、どんな商品が、どんな状況下で、どういう人が使ったら活用できるのかと、具体的な環境をイメージして体感してきました。
今回私が意識していたのは、病棟や施設内での患者さんの「移乗動作」でした。複数の職員がタイミングを計って患者さんを一瞬で車椅子やベッドへと平行移動させる、失敗が許されない“あれ”です。過去には移乗動作を行う「床走行リフト」という機器の導入を試みて、病棟向けに何度もデモンストレーションを行ってきましたが、購入が見送られていました。(1)スリングシートの煩わしさ、(2)ユニット本体の大きさ、(3)モーターの動作の遅さ、(4)吊りハンガーの危険性などが理由です。しかし、今回それらを払拭した商品が目の前に現れました。『モーリフト・クイックレイザー1』と『ロボヘルパーSASUKE』です。
【上の写真】 従来の床走行リフト