健康コラム
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「CTコロノグラフィー(大腸CT)が撮れるようになりました!」いまどきの医療と技術(2)
汐田総合病院 放射線科 涌井崇尚
大腸のCT??
「大腸を検査する」と聞くと、多くの方が「肛門から内視鏡を入れる」と想像されるかと思います。
大腸CTは、内視鏡を使わずに大腸内部を隅々まで観察する事ができる画期的な検査方法で、コンピューター処理によって大腸の3次元画像を作成して大腸の腫瘍性病変などを診断できます。
検査法は大腸を膨らますために炭酸ガスを肛門から注入し、うつ伏せと仰向けで撮影するだけです。この撮影により得られた大腸の3次元画像や通常のCT画像をもとに、大腸がんや大腸ポリープを見つけます。
欧米では大腸CTの普及が進んでおり、“CTコロノグラフィー(CTC)”として大腸がん検診への応用が一般的になっています。
大腸CTの利点と欠点は??
長所としては、他の検査と比べ短時間で苦痛が少ない。内視鏡が苦手とする大腸のひだの裏なども観察できる。内視鏡の挿入が困難な方でも実施可能。大腸の外側や他の腹部臓器の情報も一緒に得られる。検査時に注入された炭酸ガスは、腸管から速やかに吸収されるため、検査後の腹部膨満や腹痛は少ないです。
短所としては、組織の採取ができないため病変が指摘された場合は大腸内視鏡が必要となります。病変の色や硬さの情報が得られないため平坦な病変は苦手です。CT撮影に伴う被曝もあるため、妊娠の可能性がある方は受けられません。
このように利点や欠点がありますが、御高齢の方や、過去に大腸内視鏡の挿入が困難であった方にも推奨されます。大腸検査の際は、選択肢のひとつとしてご検討お願いできればと思います。
【上の写真】CTで撮った腸の全体図。CTでここまでリアルな全体図を作ることができます。
【上の写真】腸の断面図。内視鏡で見なくても、CTで腸の断面図が見れます!