健康コラム
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頭痛のはなし(4)
汐田総合病院脳神経外科(副院長) 小澤 仁医師
今回は、くも膜下出血についてお話ししましょう。
くも膜下出血は、脳の表面で比較的太い血管の枝分かれの部分にできた、脳動脈瘤という「こぶ」が破裂し、脳の表面(くも膜の下)に出血する病気です。何故動脈瘤ができるのかは未だ詳細不明ですが、元々血管の枝分かれの部分の壁の作りが弱い方が、精神的ストレスや便秘・高血圧などの肉体的ストレス等によって壁の薄い部分が膨らみ、動脈瘤が形成されると考えられています。比較的若年の方にも多く、一旦出血すると1/3の方は死亡に至ってしまうため、怖い病気として知られています。
症状だけでは診断が難しい
一般的には、経験したことの無いような激しい頭痛が後頭部に起こり、嘔吐して、時として意識を失ってしまうとされています。しかし実際には、「頭がうすら痛い」、「首がこっている」、等という軽い症状の方も多く、稀に頭痛を感じることなく吐き気・嘔吐だけの方もいらっしゃり、単純に症状だけでは診断が難しい病気です。また、頭部単純CTが最もその診断に有用ですが、頭部単純CTでも発見できない、くも膜下出血も2割程あります。ですから、頭部単純CTでくも膜下出血が発見されなくても、くも膜下出血を強く疑われる場合は、「腰椎穿刺」と言って背中から針を刺して脳脊髄液を取り、その中に出血した証拠が無いかを確認する必要があります。
治療法は?
治療は、開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術と言って、頭の骨を外して脳の深い溝を分け、動脈瘤の首根っこの部分をクリップでつまみ、血液が動脈瘤の中に入らないようにする治療が一般的でした。最近は、脳動脈瘤塞栓術と言って、カテーテルと言う管を股の部分から入れてその先端を動脈瘤の中まで持って行き、プラチナでできた髪の毛のように細くて柔らかいコイルと言う物をカテーテルの中を通して脳動脈瘤の中に詰め込み、血液が動脈瘤の中に入らないようにする治療も行われるようになっています。
「暮らしとからだ」2005年6月付