健康コラム
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頭痛のはなし(2)
汐田総合病院脳外科(副院長) 小澤 仁医師
今回は、生命を脅かす可能性のある頭痛についてお話ししましょう。
脳は、全体が骨によって囲まれており、その容積はほぼ一定(約9割)に保たれています。脳腫瘍や脳内・外出血(以下、「頭蓋内腫瘤」とします)が生じる(残りの1割、150mlを越える)と、正常な脳がその限られた容積の中で「ぐいぐい」押されるため、頭痛が起こります。頭痛の回数と程度は、脳腫瘍は徐々に、脳内・外出血は突然起こります。脳内・外出血は、その他の症状として、急に手足がしびれたり動かなくなったり、或いは急に意識がなくなったりしますから、その発見は容易でしょう。一方脳腫瘍は、症状が徐々に出てくるため、比較的発見が遅れやすいと言えます。
脳腫瘍の症状は?
脳腫瘍に特徴的な頭痛としては、キリキリする、あるいは鈍い痛みが多いようです。また、痛みのない時間・日・月もあり、痛む時間は早朝起床時に多いとされています。咳やくしゃみ、りきんだりすることによって、或いは頭の向きによって、または、早朝起床時のみならず昼寝の後、頭痛が出ることもあります。その他、脳腫瘍に特徴的な症状として、吐く(食事と無関係に、吐き気を伴わず吐いてしまう、吐いてしまうと頭痛が無くなり食事も出来る)、目が見えにくくなる(目がかすむ、一時的に暗くなる、突然見えなくなる、まぶしさを覚える、特に立ち上がったり急に頭を回すと起こりやすい)、物が二重に見える、などがあります。
早期発見が重要
脳腫瘍の中には、手術をすれば全く後遺症なく頭痛のみならず手足の麻痺も改善し、一生涯安心して過ごせるものもあります。また、たとえ悪性の腫瘍であっても、比較的小さなものはその腫瘍の種類によっては、特殊な放射線の治療で一時的に治すことが出来るものもあります。いずれにしても、癌と同様に早期の発見が重要です。
その他に生命を脅かす可能性のある頭痛として、「脳内・外出血」、「くも膜下出血」、「脳梗塞」などがありますが、これらについても別号でお話しましょう。
「暮らしとからだ」2005年4月付