健康コラム
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災害時の誤嚥性肺炎予防
言語聴覚士 室内侑希
●災害時の口腔ケアは重要!
みなさんはどんな防災グッズを用意していますか?災害時の避難生活で、口腔ケアが重要であることをご存知でしょうか。
災害時には水不足により口腔ケアが不十分となり、口腔内細菌が増殖します。長期の避難生活で体力が低下して嚥下機能(飲み込む力)が弱まると、食べ物や唾液を誤嚥(食道ではなく気管に入ってしまう)することによって、増殖した口腔内細菌が気管に侵入してしまいます。精神的ストレスによって免疫力が低下していることもあり、誤嚥性肺炎を発症しやすくなるのです。
阪神・淡路大震災の震災関連死(死者数:922人)
阪神・淡路大震災(1995年)においては、肺炎が震災関連死の最多数を占めていました。震災関連死者のほとんどが高齢者であったことから、この肺炎の多数が誤嚥性肺炎だったのではないかと考えられています。以降の震災では、誤嚥性肺炎予防のため口腔ケア班が派遣されるなど、口腔ケアの重要性が唱えられてきました。そこで今回は、災害時に必要な口腔ケアグッズと口腔ケア方法についてご紹介します。
●防災グッズには必ず口腔ケアグッズも用意しましょう!
- 歯ブラシ
- 液体歯みがき
- 口腔ケアシートも便利
●災害時の口腔ケア方法(※サンスターのホームページより一部改変)
◇歯ブラシがないとき
- ハンカチやタオルを指に巻き、歯の汚れを拭きとる
- 30ml程度の水やお茶を、2~3回に分けて、少量ずつうがい
◇歯ブラシはあるが水が少ないとき
- 30ml程度の水をコップに用意
- その水で歯ブラシを濡らしてから、歯みがきを開始
- 歯ブラシが汚れたらティッシュペーパーで汚れを拭く⇒再び歯みがき
- 最後に、コップの水を2~3回に分けて、少量ずつうがい
◇口腔内の汚れを洗い出す役割のある唾液の分泌を促すことも大切です
- ガムを噛む
- 唾液腺(耳の真下)をマッサージする
●誤嚥を招かないよう嚥下体操をしましょう!