健康コラム
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「認知症のお話」(2)
汐田総合病院 医師 宮澤由美
認知症サポーターとは
「うしおだグループ認知症総合方針」に基づき、最も力を入れているものの一つに「認知症サポーター養成講座」があります。以前から、共同組織である友の会を中心に地道にとりくまれてきましたが、総合方針ではより多くの地域の人にサポーターになってもらい、また職員も最終的には全員がサポーターになることを目指しています。
講座は約90分くらい、所定のテキストに沿って説明を行い、寸劇やDVDなども盛り込み、最後に「オレンジリング」を配ります。
講座を主に進めるのは「キャラバンメイト」という資格を持った人です。昨年度はうしおだグループのキャラバンメイトは3人に増え、今年度はもっと増える予定です。あちこちの地域で講座を開くことができ、また職員では薬剤師がほぼ全員サポーターになりました。
サポーターになったからといって、何かをしなければいけないということはありません。認知症の人を見る目が優しいまなざしに変わり、自分のできる範囲で必要な手助けをする人が増えることを目指しています。
小さな親切が大きな安心に
「心の杖」になってくれるサポーターが増えることで、認知症の人が安心して暮らせるまちづくりが可能になります。新たに誕生したサポーター達は「バスの中で明らかに様子が変な人がいたので、声をかけたら行先を答えられず、運転手さんと相談して交番に案内した」「病院前の道路に表情がうつろな人がいたので、しばらく話していたら、探していたご家族が急いで迎えにきた」などの体験をしています。
視点を変えてみると、意外に手助けを必要としている人はいますので、小さな親切が大きな安心につながる場面は多いものです。
このとりくみは日本で生まれたもので、海外では高い評価を得ています。イギリスでは日本に続いて「Dementia friends」というシステムができ、オレンジリングに代わり、花のバッジが配られています。