院長あいさつ

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汐田総合病院 院長 宮澤 由美

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 汐田総合病院の歴史は1953年に「働く者の医療機関」としてスタートした旧汐田診療所まで遡りますが、1960年の病院化、1987年の総合病院化、2001年の新築移転を経て、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を迎えようとしています。横浜市鶴見区も京浜工業地帯の街から、高齢者や障害者、外国人な>ど多様な人が多様な価値観をもって暮らす街へと変わってきました。 

 全国的には人口減が進む中、首都圏の当院を取り巻く環境はまだ緩やかな人口微増が続き、中でも高齢人口の大幅な増加とともに更なる医療需要・介護需要が見込まれる地域です。その中で中核病院をはじめとする近隣の医療機関との機能分化と連携を深め、無料低額診療事業を核として、無差別・平等の地域包括ケアの拠点となるような病院を目指します。さらに、当院の目指すべき方向性として、「高機能ケアミックス病院」から「地域生活支援病院」への転換を図ります。「地域生活支援病院」とは一定の急性期・救急機能を備えながらも、回復期病床が充実した、地域住民の生活を医療を通して支援することに重点をおく病院です。差額ベッド料がなく、経済的要因で差別をせず、社会的弱者に寄り添う、無料低額診療施設としての社会的使命を果たすことは開院以来、守り通してきた理念です。理念を守りつつ、時代の変化に柔軟に対応できる医療機関でありたいと思っています。

診療報酬制度が改訂になりました(2024年6月11日)

 汐田総合病院の診療は健康診断など一部を除いて、大半は国民が加入する公的医療保険制度に基づく保険診療を行っています。この保険診療に伴って医療機関に支払われる報酬が「診療報酬」となり、医療行為ごとに一つ一つ厚生労働大臣により決められます。2年に1回、この診療報酬が改訂され、医療機関に入ってくる金額とともに患者自己負担金も変わります。2024年度は医療、介護、障害福祉の3つの分野の報酬が同時に改訂されるトリプル改訂になったため、大きな変更が加わりました。
 2024年度診療報酬改定の大きなポイントは3つあると思います。一つは改訂施行時期が4月1日から6月1日に変更になったことです。2年ごとに4月1日から点数が変わり、3月末は非常に忙しい時期となっていましたが、今回から6月1日からの変更になりました。当院を受診された場合、自己負担額は6月1日から変更になっています。2つめに医療DX推進の方向性が明らかになったことです。当院もオンライン処方箋や電子カルテ情報共有サービスなどについての導入準備を進めてまいりますが、マイナンバーカードの保険証利用に際し、現行の健康保険証を廃止する計画については、時期尚早であると考えています。現行の健康保険証を残すことで、電子機器のトラブル時への対応やマイナンバーカードの取得や更新がうまくいかない人への対応が可能になり、混乱が回避できると考えます。健康保険証を残す運動に共感と参加をお願いします。3つめは医療従事者の賃上げを目的に診療報酬に加算するベースアップ評価料の新設です。物価高に対応し、国民の生活を守るためには賃上げが必要であり、我々医療従事者も例外ではありません。医療機関の収入は診療報酬が大部分ですので、医療従事者の賃上げのためには診療報酬のアップが欠かせません。同時に自己負担割合を減らさなければ、患者負担が増えることになってしまいます。今回のベースアップ評価料では、医療従事者の中で対象となる職種とそうではない職種があり、また一部患者負担が増えるという大きな課題があります。これらのこと以外でも変更点は多くあり、中には矛盾が大きい内容もあります。
 これらの大きな課題を抱えながらの診療報酬改定となりましたが、保健医療機関として一旦は矛盾が多い制度下での保険請求と自己負担分徴収をせざるをえません。自己負担分聴取の際は明細もつけてお渡ししますので、不明な点はお問い合わせ頂ければ幸です。