院長あいさつ

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汐田総合病院 院長 宮澤 由美

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 汐田総合病院の歴史は1953年に「働く者の医療機関」としてスタートした旧汐田診療所まで遡りますが、1960年の病院化、1987年の総合病院化、2001年の新築移転を経て、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を迎えようとしています。横浜市鶴見区も京浜工業地帯の街から、高齢者や障害者、外国人な>ど多様な人が多様な価値観をもって暮らす街へと変わってきました。 

 全国的には人口減が進む中、首都圏の当院を取り巻く環境はまだ緩やかな人口微増が続き、中でも高齢人口の大幅な増加とともに更なる医療需要・介護需要が見込まれる地域です。その中で中核病院をはじめとする近隣の医療機関との機能分化と連携を深め、無料低額診療事業を核として、無差別・平等の地域包括ケアの拠点となるような病院を目指します。さらに、当院の目指すべき方向性として、「高機能ケアミックス病院」から「地域生活支援病院」への転換を図ります。「地域生活支援病院」とは一定の急性期・救急機能を備えながらも、回復期病床が充実した、地域住民の生活を医療を通して支援することに重点をおく病院です。差額ベッド料がなく、経済的要因で差別をせず、社会的弱者に寄り添う、無料低額診療施設としての社会的使命を果たすことは開院以来、守り通してきた理念です。理念を守りつつ、時代の変化に柔軟に対応できる医療機関でありたいと思っています。

新しい年が希望の年になりますように(2025年1月14日)

 2025年は2024年末から続くインフルエンザの猛威であけました。横浜市医療局健康安全課の発表によると、定点あたりの患者報告数は12月中旬(第50週18.91)には流行注意報の発令基準(10.00)を上回り、第51週には43.15と、流行警報の発令基準(30.00)を上回りました。ちょうど年末年始で医療機関が休みに入る期間に流行のピークが来たため、各区医師会休日診療所や救急告示病院などは発熱患者で大騒ぎの事態になりました。12月最終週、52週の定点あたり患者報告数は60,35にも及びました。全国でのデータも1999年以降過去最高となりました。
 当院は日々の内科外来や救急外来での診療に加え、毎年恒例となった12月31日の特別外来、1月4日からリニューアルオープンしたうしおだ在宅クリニックでの発熱診療に取り組みました。救急告示病院という性格上、救急車搬送や入院を要する方も多く受け入れました。新型コロナ感染症の経験を活かし、目一杯の奮闘をしましたが、職員配置、薬剤不足などに課題があったことは否めません。地域住民への医療提供体制を考えるとき、発熱したと言うだけで診療にたどり着けないような状況は二度と作りたくありません。しかし、柔軟に職員の確保ができる診療報酬や補助金などの経済基盤、必要な薬剤を処方できる薬剤の流通状況など、整備すべき事があり、これは一医療機関だけの努力ではどうなるものでもありません。状況の改善に向けて、他の医療機関とともに声を上げていきたいと思います。
 2025年は団塊の世代が後期高齢者になる年で、日本の超高齢社会を考える上での節目の年と言われてきました。新しい年が老若男女を問わず、希望の年になりますように、地域医療、地域包括ケアを守る立場で、職員とともに奮闘したいと思います。