院長あいさつ
汐田総合病院 院長 宮澤 由美
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汐田総合病院の歴史は1953年に「働く者の医療機関」としてスタートした旧汐田診療所まで遡りますが、1960年の病院化、1987年の総合病院化、2001年の新築移転を経て、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を迎えようとしています。横浜市鶴見区も京浜工業地帯の街から、高齢者や障害者、外国人な>ど多様な人が多様な価値観をもって暮らす街へと変わってきました。
全国的には人口減が進む中、首都圏の当院を取り巻く環境はまだ緩やかな人口微増が続き、中でも高齢人口の大幅な増加とともに更なる医療需要・介護需要が見込まれる地域です。その中で中核病院をはじめとする近隣の医療機関との機能分化と連携を深め、無料低額診療事業を核として、無差別・平等の地域包括ケアの拠点となるような病院を目指します。さらに、当院の目指すべき方向性として、「高機能ケアミックス病院」から「地域生活支援病院」への転換を図ります。「地域生活支援病院」とは一定の急性期・救急機能を備えながらも、回復期病床が充実した、地域住民の生活を医療を通して支援することに重点をおく病院です。差額ベッド料がなく、経済的要因で差別をせず、社会的弱者に寄り添う、無料低額診療施設としての社会的使命を果たすことは開院以来、守り通してきた理念です。理念を守りつつ、時代の変化に柔軟に対応できる医療機関でありたいと思っています。
春を待つ心で、過ごす日々です。(2025年2月18日)
「冬きたりなば春遠からじ」と言います。今年は1月20日でしたが、いわゆる大寒から、立春までの約2週間が1年で最も寒い時期になります。立春をすぎ、少しずつ暖かくなっては、寒波が来るという「三寒四温」の時期に入っているのかもしれません。同時にもう少しすれば暖かくなり、春が来ると楽しみな時期でもあります。春を待つ心、寒さをしのぐ工夫、人生の諸先輩方が培ってきた生活上の経験や知識に学びながら過ごす日々です。
冬季の冷たい風や低い気温は病気や生活上の不活発さを招きやすく、医療機関にとっては忙しい時期です。少ない人数でお互いの体調管理を気遣いながら、春になれば入って来る新入職員の受け入れ準備にいとまがありません。各専門職の国家試験も毎週、職種毎に行われており、多くの学生が卒業を前に資格取得に臨んでいます。首都圏においては、急増する高齢者の医療需要、介護需要に対する医療従事者の供給がおいつかず、とりわけ神奈川県は
最も看護職員が不足する都道府県になっています。(厚生労働省 :「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ(概要)」(令和元年(2019年)11月15日より)一方で、県内の看護専門学校は定員割れする状況で、一医療機関の看護師育成を越えた課題になっています。
汐田総合病院も医療従事者の育成については奨学金制度を始め、免許取得前からの育成に尽力してきました。来年度はより多くの職種にたいし、より様々な角度からの育成を模索する予定です。地域住民の方々のご協力をよろしくお願いします。