医学的臨床研究指針について
汐田総合病院
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する指針・手順書
2024年7月1日策定
倫理委員会
本指針・手順書は、汐田総合病院(以下、「当院」と称す)内で行われる医学的臨床研究について、『人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針』(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)並びに関連法規に基づき、当院で行う医学的臨床研究が適正・安全に実施されることを目的として定めたものである。
全ての関係者は、次に掲げる事項を基本方針として本指針・手順書を遵守し研究を行わなければならない。
①社会的及び学術的意義を有する研究を実施すること。
②研究分野の特性に応じた科学的合理性を確保すること。
③研究によって得られる利益及び研究対象者への負担、その他の不利益を比較考量すること。
④臨床研究審査委員の審査を受けること。
⑤研究対象者への事前の十分な説明を行うとともに、自由な意思に基づく同意を得ること。
⑥社会的に弱い立場にあるものへの特別な配慮をすること。
⑦研究に利用する個人情報等を適切に管理すること。
⑧研究の質及び透明性を確保すること。
【用語の定義】
本指針・手順書における用語の定義は『人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針』に則る。
【適用範囲】
本指針・手順書は当院で実施される医学的臨床研究を対象とする。ただし、薬機法上に基づく臨床治験薬の臨床治験などについては、2004年に当院で定めた『汐田総合病院における臨床治験の取り扱い基準』に準拠して対応するものとする。
【研究者等の責務】
①研究者等は、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して、研究を実施しなければならない。
②研究者等は、法令・指針等を遵守し、当該研究の実施においては、当院の臨床倫理審査の審議を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならない。
③研究者等は、研究を実施するにあたって、研究対象者に丁寧な『説明と同意』を行わなければならない。
④研究者等は、研究対象者及びその関係者からの相談・問い合わせ・苦情等に適切、かつ迅速に対応しなければならない。
⑤研究者等は、研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく、漏らしてはならない。研究の実施に携わらなくなった後も同様である。
⑥研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けるように努める。
【研究の適正な実施】
①研究者等は、研究を実施する際、あらかじめ研究計画書を作成しなければならない。
②研究者等は、研究計画書の作成又は変更に当たっては、研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるよう考慮しなければならない。また研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益を総合的に評価するとともに、負担及びリスクを最小化する対策を講じなければならない。
③他機関と共同研究を実施する研究者等は、他機関や大学等で取得された倫理審査結果を当院で倫理審査を受ける際に提出しなければならない。また、他共同研究機関の研究者等と情報の共有に努めなければならない。
④研究者等は、所定の申請手順に則り研究実施の可否について、臨床研究審査委員による倫理審査を受けなければならない。
⑤研究者等は、研究計画書に従って研究が適正に実施され、その結果の信頼性が確保されるよう、当該研究の実施に携わる関係者を指導・管理しなければならない。
⑥研究者等は、研究の実施において、当該研究により期待される利益よりも予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該研究により、十分な成果が得られないと判断される場合には、当該研究の見直し、又は中止をしなければならない。さらに研究の見直しをする際には、再度、研究計画書を作成し、新たに臨床研究審査委員による倫理審査を受けなければならない。
⑦研究者等は、研究を実施する際、個人の収益等、当該研究に係る利益相反に関する状況について、倫理審査委員に報告し、透明性を確保するように努めなければならない。
⑧研究者等は、侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を確認した場合には、別途定める「医療安全マニュアル」に則って、研修対象者への説明を行うとともに必要な措置を講じなければならない。
⑨研究者等は、当該研究の進捗について、臨床研究審査員又は倫理委員会事務局へ適宜報告をしなければならない。その際に研究の適正な実施及び研究結果の信頼性の確保に努めるため、研究の継続に影響を与えると考えられる事案を確認した場合、臨床倫理委員又は倫理委員会事務局へ遅滞なく報告し、研究内容の見直し、研究計画書の変更をしなければならない。
⑩研究者等は、研究を終了(中止の場合も含む)したときには、倫理審査委員又は倫理委員会事務局へ、その旨及び研究結果について遅滞なく報告しなければならない。
【説明と同意】
研究者等は、当院のインフォームドコンセントガイドラインに則り、研究対象者に対して必要な『説明と同意』を文書によって取得し、臨床研究審査に臨まなければならない。また、入院時などに、医学的臨床研究についての『包括的な同意』が得られたとしても、実際に研究を実施する際には、当該研究の内容にかかわる研究計画書の作成を行い、倫理審査の手順に基づいて審議を行うこと。
また、研究対象者から研究の実施又は継続されることに関して与えた同意の一部または全部の撤回やいずれかの拒否があった際には、遅滞なく撤回または拒否のあった内容に従った措置を行うこと。さらに研究対象者にその旨の説明を行うこと。
【研究により得られた結果のとり扱い】
研究者等は、研究対象者の同意がない場合には、研究対象者の研究により得られた結果等を研究対象者以外の人に対し、原則として説明してはならない。ただし、研究対象者の血縁者等が、研究により得られた結果等の説明を希望するものであって、研究者等が、その説明を求める理由と必要性を踏まえ説明することの可否について臨床研究審査員の意見を聞いたうえで必要と判断した場合には、この限りではない。
【院長の責務等】
①院長は、臨床研究審査により実施を許可された研究が適正に行われるよう、総括的な監督を行う必要がある。
②院長は、当該研究が本指針・手順書及び研究計画書に従い、適切に実施されていることを必要に応じて確認するとともに、研究の適正な実施を確保するために必要な措置を取らなければならない。
③院長は、当院において実施される研究に関連して研究対象者に健康被害が生じた場合、これに対する補償、その他の必要な措置が適切に講じることを確保しなければならない。
④院長は、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、研究結果等、研究に関する情報が適切に公表されることを確保しなければならない。
⑤院長は、本指針・手順書に定める権限を倫理委員会に委任することができる。
【改廃】
この規定の改廃は、倫理委員会の議を経なければならない。
参考文献
『人を対象とする生命科学・医学系研究に関する 倫理指針』
令和3年3月23日制定(令和4年3月10日一部改訂)(令和5年3月27日一部改訂)
厚生労働省ホームページ:研究に関する指針について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
『人を対象とする生命科学・医学系研究に関する 倫理指針 ガイダンス』
令和3年4月16日制定 (令和4年6月6日一部改訂) (令和5年4月 17 日一部改訂)
厚生労働省ホームページ:https://www.mhlw.go.jp/content/001087864.pdf